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母子感染症予防のポイント
赤ちゃんを守るために知っておきたい「意外なリスク」と対策
母子感染症(TORCH症候群)とは?

1. はじめに:幸せな報告の裏に潜む、知られざる「守り方」
妊娠が判明したとき、あるいは新しい命を迎えようと決めたとき、心は喜びと期待でいっぱいになります。しかし同時に、「お腹の赤ちゃんのために、具体的に何を気をつければいいのだろう?」と、ふとした瞬間に不安を感じることもあるかもしれません。
実は、私たちの日常生活の中に、お腹の赤ちゃんに影響を与える可能性のある「感染症」のリスクが潜んでいます。
その総称が「TORCH(トーチ)症候群」です。
これは、お母さんが感染することで胎盤を通じて赤ちゃんに感染(母子感染)してしまう病気の頭文字をとった言葉です。
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T(Toxoplasma:トキソプラズマ)
寄生虫(原虫)の一種です。加熱不十分なお肉(生ハム、ローストビーフ、鳥タタキ、ユッケなど)や生の貝類、土・砂、猫のフンなどに潜んでいることがあります。
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O(Others:その他の感染症)
梅毒、パルボウイルスB19(リンゴ病:伝染性紅斑)、ジカウイルスなどが含まれます。
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R(Rubella virus:風疹ウイルス)
風疹による感染症です。妊娠中に感染すると、赤ちゃんの難聴、心疾患、発達の遅れ、白内障などを引き起こす「先天性風疹症候群」の原因になることがあります。
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C(Cytomegalovirus:サイトメガロウイルス)
成人の半数以上(60〜70%)がすでに感染しているとても身近なウイルスです。主に乳幼児の尿や唾液、母乳などを介して感染し、小頭症、難聴、てんかん、発達の遅れなどの原因になることがあります。
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H(Herpes simplex virus:単純ヘルペスウイルス)
ヘルペスウイルスによる感染症です。
近年、ライフスタイルの変化により「梅毒」や「リンゴ病」などのリスクも改めて注目されています。これらは流産や死産、あるいは赤ちゃんの視力・聴力、脳の発育などに影響を及ぼすことがありますが、「お肉の食べ方」や「家族との接し方」といった日常の習慣で、そのリスクを大きく減らすことができます。 大切な赤ちゃんを守るための、具体的で前向きな「守り方」を一緒に見ていきましょう。


2. 「お肉の焼き加減」が赤ちゃんに影響?トキソプラズマの盲点
妊娠中のお祝いや少し贅沢な外食。ローストビーフや生ハム、サラミなどが並ぶと魅力的に感じるものですが、ここには「トキソプラズマ」という寄生虫のリスクが隠れています。
トキソプラズマは、お母さんが感染しても目立った症状が出ないことが多い一方、胎児の目や脳に深刻な影響を与える可能性があります。
贅沢な食事に潜む意外な経路
特に「中が赤い肉」や「非加熱の食材」は要注意です。
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肉類: ローストビーフ、生ハム、サラミ、鳥タタキ、ユッケ、そして馬刺し。
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貝類: 生ガキなど、生で食べる貝類。
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その他: ガーデニングの土や、猫のフンを介した感染。
「肉類・貝類はしっかり加熱!(中が赤い肉は要注意)」
日常のセルフケア
包丁やまな板を「生肉用」と「その他」で分ける、土を触る時は手袋をするといった小さな心がけが、赤ちゃんへの何よりの思いやりになります。猫を飼っている方は、トイレ掃除を家族に頼むなど、周囲を上手に頼ってくださいね。


3. 最も頻度が高いのに、意外と知らない「サイトメガロウイルス」
母子感染症の中で最も頻度が高いと言われているのが「サイトメガロウイルス」です。
実は、成人の60~70%がすでに感染しているという、非常にありふれたウイルスです。
健康な大人なら感染しても問題ありませんが、妊娠中に初めて、あるいは再感染・再活性化することで、赤ちゃんに難聴や発達の遅れなどを引き起こす可能性があります。
小さなお子さんがいる家庭こそ注意を
このウイルスは主に「乳幼児の尿や唾液」に含まれています。そのため、二人目以降の妊娠中の方や、保育現場などで働く方は、日々の触れ合い方に少しだけ工夫が必要です。
「こどもと食器やスプーンを共有しないようにしましょう」
愛情を伝える新しいカタチ
「子どもとの接触を避ける」と考えると寂しく感じるかもしれませんが、視点を変えてみましょう。
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口へのキスではなく、おでこにチュッとする: よだれがつきやすい頬も避け、おでこにキスをするのは、医学的にも推奨される温かなスキンシップです。
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「一口ちょうだい」を控える: 食べ残しを共有しないことも、立派な感染予防です。
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おむつ替えの後は石鹸で手洗い: 手を洗う時間は、赤ちゃんを守るための「おまじない」の時間です。


4. 風疹対策は「パパ」と「じいじ」が鍵を握る?
風疹は、妊娠初期に感染すると赤ちゃんに「先天性風疹症候群(心疾患、難聴、白内障など)」を引き起こす可能性があります。
ここで知っておくべき重要な事実は、「妊婦さんは妊娠中に風疹ワクチンを打てない」ということです。ワクチンが「生ワクチン(弱毒化したウイルス)」であるため、お腹に赤ちゃんがいる間は接種できません。
「家族一丸」でバリアを作る
妊婦さんを感染から守るには、周囲に「免疫のバリア」を作ることが不可欠です。
特に協力が必要なのが、パートナー(パパ)と、これからお孫さんと接する機会が増えるおじいちゃん(じいじ)世代です。
実は、「1962年(昭和37年)4月2日〜1979年(昭和54年)4月1日生まれの男性」は、過去の制度の影響で抗体保有率が低いことがわかっています。
家族が抗体検査を受け、必要であればワクチンを接種する。
この「家族のチームプレー」こそが、赤ちゃんの未来を支える大きな力となります。

5. 「記憶」より「記録」:母子健康手帳を確認すべき理由
「子どもの頃に風疹にかかったはず」という記憶は、実はあまり当てになりません。リンゴ病など、似た症状の病気と勘違いしているケースが非常に多いためです。
そこで大切になるのが、「記憶」ではなく「記録」による確認です。
今すぐできるアクション
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母子健康手帳を確認する: 自分とパートナー、そして可能であればご両親の手帳も確認してみましょう。
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「2回接種」をチェック: 風疹含有ワクチン(MR:麻しん風しん混合ワクチンなど)の接種歴が「2回」あるかを確認!
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不十分なら医療機関へ: 記録がない場合や1回のみの場合は、抗体検査やワクチン接種を検討しましょう。
もし、妊婦さん自身の抗体価が低いとわかっても、決して遅すぎることはありません。周囲がバリアを作って守り抜き、妊婦さん自身は「出産後の入院中や産後1か月健診」といったタイミングで接種を受けることが推奨されています。この「次へのステップ」を
知っておくだけでも、安心感が違いますよね。





6. 知識が赤ちゃんへの最高のプレゼント
母子感染症(TORCH症候群)のリスクを知ることは、決して怖がることではありません。
むしろ、「正しく知ることで、防げる未来がある」という希望でもあります。
お肉の焼き加減に気をつけること、おむつ替えの後に手を洗うこと、家族のワクチン歴を確認すること。こうした日常の何気ないアクションは、すべて赤ちゃんへの深い愛情の形です。
知識は、あなたが赤ちゃんへ贈ることができる、最初の、そして最高のプレゼントの一つです。
さあ、あなたの周りの大切な人と、まずは「母子健康手帳」を開いて「2回接種の記録」を確認することから始めてみませんか?
当院の院長は、感染症を専門の1つとしていますので、気軽に受診していただき、相談してください♪。