メスの握れる!
プライマリ ケア/総合診療
感染症診療&アレルギー診療に強い!
乳幼児~高齢者&幅広い診療域まで対応

希惺会
青いイルカの




講演/取材依頼は
上記メールアドレスにて
お願いします。
注:メールや電話での医療/健康に関する相談や診察は
対応できませんのでご了承ください。その際には、
対面診察にて宜しくお願い致します。
050ー3355ー7626

高血圧、糖尿病、高脂血症(コレステロール血症)、高尿酸血症(痛風)などの生活習慣病に関して、内服療法だけでなく、食事療法・運動療法指導も併用し、糖尿病に関してはインシュリン療法も必要な場合には実施しており、漫然と薬を処方するのではなく、日々の生活習慣指導として、糖質制限指導を含めた食事指導、運動療法、禁煙指導など、日々の生活への介入・改善なしには治療が効果が十分に期待できないのが「生活習慣病」と考え、治療をさせて頂いたいます。2024年6月より、国の決まりで医師も薬だけを出すだけで具体的な指導や目標を提示しないような「お薬処方だけ」の安易な保険診療とする医学的な知識のアップデートのない治療をしないように患者さんに4か月に1度指導用紙をお渡しする事を義務付け、定期的な採血や総合的な評価をきちんとしないと保険点数が取れない仕組みとなりました。コレステロールなどの脂質異常に関しては、令和時代には頸動脈エコーによる動脈硬化リスクの評価を実施しないと採血結果だけでの治療開始評価や判断ができないというのが指針となっています。
当院では、下記のような頸動脈エコーによる頸動脈の血管壁を自動測定するアプリケーション搭載しており、頸部疾患、皮膚疾患、関節骨疾患、腹部疾患、泌尿器疾患まで幅広い領域に評価できる超音波機械を導入しております。生活習慣病で当院で通院される方には、定期的に
評価のうえ、採血だけでなく、きちんと根拠をもった治療かつ指導を行っています。

脂質異常症
脂質異常症は、血液中の脂質(あぶら)、つまり、悪玉コレステロール(LDL-C)や中性脂肪/トリグリセライド(TG)の量がバランスが崩れて、異常な数値となり、その状態が長いことで血管に悪影響を与えることがあります。
具体的には次のような状態です:
-
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値が高すぎる
-
HDLコレステロール(善玉コレステロール)の値が低すぎる
-
中性脂肪の値が高すぎる
これらのうち、一つでも当てはまれば脂質異常症と呼ばれます。以前は「高脂血症」とも呼ばれていましたが、今は「脂質異常症」という名前が使われています。
コレステロールって何?
コレステロールは、体にとって大切な役割を持つ脂質の一種です。全ての細胞の膜(細胞の壁)の材料になるほか、ホルモンや胆汁酸(消化を助ける物質)の材料にもなります。つまり、コレステロールは私たちの体に必要な物質なのです。
しかし、血液中のコレステロールが多すぎると、血管の壁に付着して「動脈硬化」の原因になります。動脈硬化が進むと、血管が狭くなったり詰まったりして、心筋梗塞や脳卒中などの重い病気を引き起こす危険があります。
イメージとしては、
「体の中に悪玉コレステロールを回収する『ゴミ収集車』が少ない状態」と考えてください。
ゴミ(LDL)が血管に溜まり続けると、道路(血管)が詰まって事故(心筋梗塞/脳卒中)が起きやすくなります。
これを予防するために患者さんごとに薬物治療の適応があるか、つまり、デメリットよりもメリットが勝るのか、食事療法や運動療法はどういうことに普段、具体的に気をつければいいのかと知識のアップデートを日々し続けている医師に相談を行うのが、受診の目的になります。
悪玉コレステロールと善玉コレステロール
コレステロールには、「悪玉コレステロール」と「善玉コレステロール」の2種類があります。
名前はよく聞くかもしれませんが、どう違うのでしょうか?
-
LDLコレステロール(悪玉コレステロール):肝臓から体の各部へコレステロールを運びます。余分なLDLコレステロールは血管の壁に溜まりやすく、動脈硬化の原因になるため「悪玉」と呼ばれます。
-
HDLコレステロール(善玉コレステロール):体の各部から余分なコレステロールを回収して肝臓へ運び、最終的に体の外に排出する手助けをします。血管壁に溜まったコレステロールも回収するため「善玉」と呼ばれます。
中性脂肪って何?
中性脂肪は、体内でエネルギー源として保存される脂質です。
食べ物から取ったエネルギーの余りは中性脂肪として体内に蓄えられます。余分なエネルギーが中性脂肪として血液中に増えると、これも動脈硬化の原因になります。
脂質異常症の原因
脂質異常症の主な原因は生活習慣です。
具体的には:
-
脂っこい食事の摂り過ぎ
-
カロリーの摂り過ぎ(食べ過ぎ)
-
アルコールの飲み過ぎ
-
運動不足
-
肥満(特にお腹周りの肥満)
-
喫煙
-
ストレス
これらの要因が重なると、脂質異常症になるリスクが高まります。
また、親や兄弟姉妹に脂質異常症の人がいる場合、遺伝の影響で脂質異常症になりやすいこともあります。
特に「家族性高コレステロール血症」という遺伝性の病気では、生まれつきLDLコレステロールが高くなる傾向があります。
意外かもしれませんが…
太っていなくても脂質異常症になることがあります。
普通の体型や痩せ型の人でも、遺伝的な要因や食事の内容によってLDLコレステロールが高くなることがあるのです。
「痩せているから大丈夫」とは言えません。
脂質異常症の症状
脂質異常症の怖いところは、初期にはほとんど自覚症状がないことです。体に変化を感じることなく、静かに動脈硬化が進行していきます。
多くの場合、健康診断で初めて脂質異常症に気づくことが多いです。
または、脂質異常症が長い間放置された結果として、次のような重大な病気を発症した時に気づくこともあります。
-
心筋梗塞
-
狭心症
-
脳梗塞
-
脳出血
-
閉塞性動脈硬化症(足の血管が詰まる病気)
これらの病気は命に関わる重大な病気ですので、脂質異常症は早めに発見して対処することが大切です
脂質異常症の治療法
脂質異常症の治療の基本は「生活習慣の改善」です。
具体的には次の3つが中心になります:
1. 食事療法
食事療法では、脂質やカロリーの摂取量を適切に保ちながら、バランスの良い食事を心がけることが大切です:
-
動物性脂肪(肉の脂身など)の摂取を控える
-
コレステロールの多い食品(レバー、卵黄など)を食べ過ぎない
-
総カロリーを適切に保つ(食べ過ぎない)
-
食物繊維が豊富な野菜をたくさん食べる
-
青魚(サンマ、サバ、イワシなど)を積極的に食べる
-
大豆製品(豆腐、納豆など)を取り入れる
-
アルコール摂取は適量にする
料理法としては、揚げ物や焼き物よりも、蒸し物や煮物がおすすめです。
2. 運動療法
定期的な運動は、中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果があります:
-
ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動が効果的
-
1回30分以上、週に3回以上を目標にする
-
脈拍数110〜120回程度の中強度の運動が理想的
運動は肥満の改善にも役立ちます。
3. 薬物療法
食事療法と運動療法を3〜6ヶ月続けても改善がみられない場合や、初めから非常に数値が高い場合には、医師の判断で薬物療法が行われます。
主な薬には次のようなものがあります:
-
スタチン系薬剤:LDLコレステロールを下げる薬
-
フィブラート系薬剤:主に中性脂肪を下げる薬
-
EPA・DHA製剤:魚の油から作られた、主に中性脂肪を下げる薬
薬は医師の指示通りに服用することが大切です。
注!基礎疾患もない数値が高いだけの患者さんには、薬物治療は始めません…。
健診や採血で数値が高かっただけでなんとなく正常値を目標に薬物療法を受けていませんか?
実は、悪玉コレステロール、つまりLDLコレステロールの管理目標値(目指すべき目標値)は、実は患者さんの背景で異なります。健康な
若い方、動脈硬化のリスクとなるような基礎疾患のない方の場合には、数値が高いだけでは薬物治療の対象になりません。
したがって、「悪玉コレステロールの値が~と高いから、薬を飲んだ方が良い」と値だけをみて一概に言うことは難しく、性別・年齢を
含めた患者さん個々の背景因子をみて、総合的に治療すべきかすべきでないかを判断しないといけないのです。
その基準の1つとして、久山町研究スコアがあります。これはあくまで一つの指標であり、実臨床では、「食事療法・運動療法をどの程度
されてきたか」「 どの程度高い状態が続いているか」など様々な要因、その他の因子も総合的に加味して診療を行う必要があり、当院では、
患者さん1人1人に合わせた治療計画を立てております。

脂質異常症の予防法
脂質異常症を予防するには、日常生活での取り組みが大切です:
標準体重を維持する
体重が増えると脂質異常症のリスクが高まります。特にお腹周りの肥満(内臓脂肪型肥満)に注意が必要です。
標準体重は「身長(m)×身長(m)×22」で計算できます。
例えば、身長160cmの人の標準体重は、「1.6×1.6×22=56.3kg」になります。
バランスの良い食生活を送る
-
和食中心の食事を心がける
-
野菜や果物、海藻類、きのこ類などを積極的に摂る
-
青魚を週に2〜3回は食べる
-
食物繊維を多く含む食品を意識して摂る
-
甘いものや炭水化物を食べ過ぎない
-
塩分を控えめにする
-
三食きちんと食べ、早食いやまとめ食いを避ける
-
夜遅くの食事を避ける(寝る2時間前までに食事を終える)
こうした食習慣が、脂質異常症の予防につながります。
定期的に運動する
-
毎日何かしら体を動かす習慣をつける
-
ウォーキングなどの有酸素運動を15分以上続ける
-
楽しく続けられる運動を見つける
運動は脂質異常症の予防だけでなく、心身の健康にもつながります。
その他の生活習慣
-
禁煙する
-
アルコールの摂取量を減らす
-
ストレスをうまく発散する方法を見つける
これらも脂質異常症の予防に重要です。
家族性高コレステロール血症とは?
「近隣のクリニックで家族にコレステロールの高い人がいれば、家族性だといわれたのですが?」
これは、厳密には違います・・・。家族にそういう方もいれば、可能性はゼロではありません。
しかし、
・家族に
:男性55歳未満、女性65歳未満で発症した早発性冠動脈疾患(心臓血管性の病気)がおられ、
・本人が
:未治療の悪玉コレステロール(LDL-C)が180mg/dl以上、
:腱黄色腫(手背/肘/膝/アキレス腱肥厚)あるいは皮膚結節性黄色腫
上記の2つ以上があてはまる場合には、可能性が高くなり、専門病院での遺伝子変異の検査のうえで確定診断が必要となり、そのうえで
最終的診断となります。
この疾患と診断された場合には、通常の脂質異常症に比べ、冠動脈疾患(心臓血管性の病気)発症リスクが高いため、より厳しい数値、つまり、低いLDL-Cのを目標に薬物療法・食事療法・運動療法が必要となります。
まとめ
脂質異常症は、自覚症状がほとんどなく静かに進行しますが、放置すると命に関わる重大な病気につながる可能性がある怖い病気です。
しかし、生活習慣の改善によって予防・改善することができます。
特に重要なのは、バランスの良い食事と定期的な運動です。若いうちから健康的な生活習慣を身につけることで、将来の脂質異常症のリスクを減らすことができます。
また、定期的に健康診断を受けて、脂質異常症のサインを早めに見つけることも大切です。
もし健康診断で脂質の値に異常があると言われたら、放置せずに生活習慣病の知識を日々アップデートしている医師に相談しましょう。
医師の見分け方は、キチンと治療が必要な理由と薬の効果の目的を丁寧に詳細にわかりやすく説明してくれて、生活指導も具体的に説明して
くれるような少々、耳の痛いことを言ってくれる医師かどうかがポイントです。採血して、薬だけ出すというのは・・・
脂質異常症は「静かな時限爆弾」とも言われますが、正しい知識と生活習慣で防ぐことができるのです。
生活習慣病の改善が、健康寿命/余命にどこまで影響するかの研究報告
この研究では、特に「心臓や血管の病気」にかかりやすくなる、皆さんの生活に関係する5つの「原因になりうるもの」
(これを「危険因子」と呼びます)に注目しました。
その5つの危険因子はこれです。
-
血圧が高いこと
-
コレステロールや中性脂肪が多いこと
-
太りすぎ、または痩せすぎなこと
-
糖尿病があること
-
タバコを吸うこと
この研究で、たくさんの人たちのデータ(200万人以上!)を調べてわかった、一番大事なメッセージはこれです。
もし、あなたが50歳になった時、この5つの危険因子を
-
「全く持っていない」場合
-
「5つ全て持っている」場合
で比べると、その後の人生にものすごく大きな差が出ることがわかりました。
具体的に言うと…
-
50歳で危険因子が「全くない」人は、5つ全てある人に比べて、
-
心臓や血管の病気にならずに済む期間が、男女ともに「10年以上長い」!
-
そして、生きられる期間(寿命)も、男女ともに「10年以上長い」とわかりました!
-
つまり、若い頃から、あるいは少なくとも50歳になるまでに、これらの危険因子をなくしておく(健康的な生活を送る)ことが、病気にならずに長く元気に生きるために、どれだけ大切かが、この研究でハッキリしました。
「じゃあ、もし50歳で危険因子があったらもうダメなの?」と思うかもしれません・・・
でも、大丈夫です。
この研究では、たとえ50歳を過ぎてからでも、これらの危険因子を改善することが、その後の健康な期間や寿命を延ばすのにとても効果があることもわかりました。
特に、
-
「血圧が高い」のを治すと、心臓や血管の病気にかからずに済む期間を一番長くできます。
-
「タバコを吸う」のをやめる(禁煙する)と、全体として健康寿命一番長くできます。
-
そして、治す危険因子が多ければ多いほど、健康でいられる期間も、長く生きられる期間も、どんどん延びることもわかっています。
まとめ
この研究のシンプルなメッセージはこれです。
「元気なまま、ずっと長く生きたいなら、病気の原因になるものをできるだけなくそう。
特に血圧とタバコに注意して、早いうちから、そしてもし今持っていても、遅すぎないうちに改善することが、自分の未来の健康と寿命を大きく変えることができるのです」
今の生活習慣が、将来の自分に大きく影響することを覚えておいてください。
生活習慣病で通院されている「かかりつけ医」の先生からは、具体的な食事・運動療法の生活指導を受けていますか?お薬を内服することが必要かどうかは本人の年齢や基礎疾患の背景などで実は変わります。正常値より高いだけで薬が必要なわけではないということが最新の医療では明らかになり、患者さん1人1人で必要な治療が異なります。
知識をアップデートし続けている「かかりつけ医」の先生を見つけて頂き、多少は耳の痛いこともしっかり助言してくれる医師が本当の意味での「あなたのかかりつけ医」なのです。
血圧は、病院でだけ測定し、高血圧だとか、問題ない数値であるということは実は判断できません。白衣性高血圧/仮面高血圧といった
可能性もあるため、毎日朝・夕の1日2回リラックスした時に測定を2~4週間測定し、薬の必要の有無やコントロールできているかの評価をしないといけません。あなたのかかりつけ医の先生は、待合室や診察室の血圧だけで終わっていませんか?1分診療で薬をポンっと出してもらうのは楽かもしれません。
医療費が高騰してきて財政を圧迫している日本では、2025年6月からは、そういう医師や患者さんをなくすためにきちんと指導をしないと保険点数で指導料を取ってはいけないことになり、4か月に1度は具体的な指導用紙と目標値を記載した紙を患者さんにお渡しすることが義務化されています。
残念ながら、一部の医師の中には、指導していないけれども指導料を取っている方もいるようです・・・
生活習慣病は、痛くもかゆくもありません。しかし、動脈硬化による心疾患や脳卒中などを予防し、糖尿病などは失明や透析、神経疾患などの合併症を起こさないために生活指導による食事・運動療法の改善と必要な薬剤の選択が重要となります。