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男性型脱毛(AGA)とは

男性型脱毛(AGA)とは、年齢や男性ホルモンの影響で、毛の周期の異常をきたす脱毛疾患のことです。

「最近、髪のボリュームが減ってきたかも…」と感じていませんか?それは「AGA(男性型脱毛症)」かもしれません。

ここでは、AGAの仕組みと治療費について、わかりやすく解説します。

 

なぜ髪は薄くなるの?髪の「寿命」とAGAの関係

 

私たちの髪の毛は、1本1本に「寿命」があり、下のサイクルを繰り返しています。

  • 成長期(約2~6年):髪が太く、長く、元気に成長する一番大切な時期。

  • 退行期(約2週間):髪の成長がストップする時期。

  • 休止期(約3~4ヶ月):髪が抜け落ち、次の新しい髪が生える準備をするお休み期間。

 

健康な髪はこのサイクルを保っていますが、AGAになると、このバランスが崩れてしまいます

一番大切な「成長期(約2~6年)」が数ヶ月~1年ほどに短くなってしまい、髪が十分に育つ前に抜けてしまうのです。

同時にお休み期間である「休止期」にとどまる髪が増えるため、全体として髪のボリュームがダウンして見えます。

ヘアサイクル.png
男性型:脱毛症のヘアサイクル
脱毛症.png

AGAは、実はとても身近な悩みです

「自分だけかも…」と悩んでしまうかもしれませんが、AGAは決して珍しいことではありません。

日本人男性の場合、全体で約3人に1人がAGAを発症すると言われています。

年代別の割合を見てみると、さらに身近に感じられるかもしれません。

  • 20代:約10人に1人

  • 30代:約5人に1人

  • 40代:約3人に1人

  • 50代以降:約2.5人に1人

 

このように、年齢を重ねるにつれて、より多くの方が経験する悩みになります。

また、AGAは遺伝的な要因も大きいと言われており、ご家族に同じ悩みを抱える方がいる場合は、その体質を受け継いでいる可能性があります。

治療費に、保険は使えるの?

ここからは、気になるお金の話です。

結論から言うと、AGAの治療は保険が適用されず、全額自己負担の「自由診療」となります。また、医療費控除の対象にもなりません。

理由はシンプルで、「命に関わる病気ではないから」です。

髪の悩みはご本人にとって非常に深刻な問題ですが、日本の健康保険制度は、病気やケガの治療を目的としています。

そのため、AGAの治療や市販の育毛剤・発毛剤の購入費用は、保険適用や医療費控除の対象外となるのです

AGA治療薬、どれが本当に効くの?【推奨度別】

AGAの治療には様々な薬がありますが、「どれを選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。実は、専門家の間では科学的なデータに基づいて「推奨度」がランク付けされています。ご自身の治療法を選ぶ際の参考にしてみてください。

最も推奨される治療法(推奨度A)

これらは、AGA治療の主役となる薬で、効果があるという証拠が豊富にあります。世界中のガイドラインで推奨されている治療法です。

  • フィナステリド(プロペシア®)/デュタステリド(ザガーロ®)

    【飲むタイプ】 抜け毛の原因となる男性ホルモンの働きを直接ブロックします。いわば、守りの治療です。

​  注:女性や未成年には不可

  • ミノキシジル外用療法

    【塗るタイプ】 頭皮の血行を促進し、髪の成長をサポートします。こちらは攻めの治療と言えます。

そこそこ推奨される治療法(推奨度B)

 

  • デノシン(男性:推奨度B、女性:推奨度C1)の塗り薬 ➡ 薬用アデノゲン®

あまり推奨されない治療法(推奨度C)​:科学的な証拠がまだ十分ではない

  • アデノシン(女性:推奨度C1)の塗り薬 ➡ 薬用アデノゲン®

  • 塩化カルプロニウムの塗り薬 ➡ フロジン外用薬5%、カロヤンプログレ®EX

      血行促進や毛根への働きかけを目的とした様々な成分の塗り薬です。

  • パントテン酸カルシウム

      髪の栄養を補う目的で使われることがあるビタミンの一種です。

【要注意】

保険は効くけど、AGA向けではない薬

ここが一番注意したいポイントです。処方される抜け毛の薬の中には、保険が適用されるものがあります。

しかし、それらはAGAの治療薬として推奨されておらず、もはや、日本皮膚科学会のガイドラインには記載すらされていません

  • セファランチン

  • グリチロン配合錠

これらの薬は、円形脱毛症など、AGAとは原因が異なる脱毛症に対して処方されることがあります。

「保険が効くから安心」と思っていても、AGAが原因の場合は期待する効果が得られない可能性が高いのです。

 
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① フィナステリドとは? なぜ髪に効くの?

 

フィナステリドは、AGAの主な原因とされる「DHT(ジヒドロテストステロン)」という男性ホルモンの生成を抑える薬です。

男性ホルモンと聞くと「毛を濃くする」イメージがあるかもしれませんが、DHTは特殊な性質を持ち、特に前頭部や頭頂部の髪の毛の成長を妨げ、細く短い毛に変えてしまう作用があります。これがAGAによる薄毛の正体です。

フィナステリドは、このDHTを作り出すために必要な「5α-還元酵素」という酵素の働きをブロックします。その結果、抜け毛が減り、本来の太く長い髪の毛が育つサイクルを取り戻す効果が期待できます。

 

② フィナステリドのAGAに対する効果は?

 

フィナステリドの効果は、日本人男性を対象とした複数の研究で確認されています。

  • 1年間の服用で約6割が改善

  国内で行われた臨床試験では、

  フィナステリド(1mg)を48週間(約1年)服用した結果、58%の人の薄毛が改善したと報告されています。

  • 5年間の長期服用99.4%が効果を実感

  さらに、日本人男性を対象とした5年間の長期的な研究では、

  99.4%の人において薄毛の進行が見られない、あるいは改善するという結果が示されました。

ただし、効果を実感した後に服用を中止すると、再び元の状態に戻ってしまう可能性があります。

効果を維持するためには、継続的な服用が重要です。

 

③ フィナステリドの副作用や注意点

 

フィナステリドは比較的安全性の高い薬ですが、副作用や注意すべき点も存在します。

  • 主な副作用

    • 男性機能の低下(性欲減退など): 報告されていますが、その頻度は1~5%未満とされています。

    • 肝機能障害: 頻度は不明ですが、報告があるため、定期的な血液検査が推奨される場合があります。

  • その他の注意点

    • 女性・子どもは使用できません: 特に妊娠中またはその可能性がある女性は、胎児(男児)への影響があるため、薬に触れることも避ける必要があります。

    • 20歳未満での安全性は確立されていません。

    • 錠剤を割ったり砕いたりしないでください: 薬剤が体内に吸収される量に影響が出る可能性があります。

    • 献血の制限: 服用中、および最後に服用してから1ヶ月間は献血ができません

    • 前立腺がん検診(PSA検査)への影響: フィナステリドは、前立腺がんの腫瘍マーカーである「PSA値」を約半分に低下させることが知られています。健康診断などでPSA検査を受ける際は、必ず医師にフィナステリドを服用していることを伝えてください。

 

■ 引用元の情報

 

本記事で言及したデータは、以下の診療ガイドラインおよび学術論文に基づいています。

  1. 診療ガイドライン

  2. フィナステリドの長期効果に関する論文

    • 論文名: Efficacy and safety of finasteride 1 mg in 3177 Japanese men with androgenetic alopecia: a 5-year, open-label, clinical study. (3177人の日本人男性型脱毛症患者におけるフィナステリド1mgの5年間の有効性と安全性に関する非盲検臨床研究)

    • 著者: Sato A, Takeda A.

    • 掲載誌: The Journal of Dermatology, 2012 Apr;39(4):359-63.

    • PubMedリンク: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22032313/

  3. フィナステリドの国内臨床試験に関する情報

    • 「48週間で6割改善」というデータは、フィナステリド(プロペシアⓇ)の医薬品インタビューフォーム(医療関係者向けの公的文書)に記載されている国内第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験の結果に基づいています。

① デュタステリドとは? フィナステリドとの違い

 

デュタステリドも、フィナステリドと同じくAGAの原因である「DHT(ジヒドロテストステロン)」という悪玉男性ホルモンの生成を抑える薬です。

両者の大きな違いは、その作用範囲にあります

DHTを作り出す「5α-還元酵素」には「I型」と「II型」の2種類が存在します。フィナステリドが主にII型の働きをブロックするのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方を強力にブロックします

このため、デュタステリドはフィナステリドよりも広範囲かつ強力にDHTの生成を抑制し、より高い発毛効果が期待されるとされています。

 

② デュタステリドのAGAに対する効果は?

 

デュタステリドの高い効果は、日本人を含む大規模な国際研究でも証明されています。

  • フィナステリドを上回る発毛効果 日本人を含む917名の男性を対象に行われた大規模な比較研究では、デュタステリド(0.5mg/日)を6ヶ月間服用したグループは、フィナステリド(1mg/日)を服用したグループと比較して、毛髪の数と太さの両方で、統計的にも明らかに優れた改善効果が認められました

  • 約6ヵ月で8割が改善を実感

  日本と韓国で行われた臨床試験では、デュタステリドを52週間(約1年)服用した結果、医師による写真評価で約88%の方に毛髪

  の増加(軽度以上の改善)が認められました。 (内訳:著明な改善 12.2%、中等度の改善 42.7%、軽度の改善 32.9%)

  フィナステリドと同様に、効果を実感した後に服用を中止すると元の状態に戻る可能性があるため、効果維持のためには継続的な

  服用が大切です。

 

③ デュタステリドの副作用や注意点

 

副作用の項目や頻度はフィナステリドとほぼ同じですが、いくつか注意点に違いがあります。

  • 主な副作用

    • 男性機能の低下(性欲減退、勃起不全など): 報告されていますが、臨床試験での発生頻度は数%程度です。

    • 肝機能障害: 頻度は不明ですが報告があるため、定期的な血液検査を行うことがあります。

  • その他の注意点

    • 女性・子どもは使用できません: 特に妊娠中またはその可能性がある女性は、胎児(男児)への影響があるため、カプセルに触れることも避ける必要があります。

    • 20歳未満での安全性は確立されていません。

    • カプセルを開けたり、噛んだりしないでください。

    • 献血の制限: 服用中、および最後に服用してから6ヶ月間は献血ができません。(フィナステリドより長いため特に注意)

    • 前立腺がん検診(PSA検査)への影響: デュタステリドもPSA値を約半分に低下させます。検査を受ける際は、必ず医師に服用を申告してください。

 

注!

薬剤によっては、効果が高い分、副作用のリスクも高くなる可能性があるなど、メリット・デメリットがあり個人差もあります。医師と相談のうえ、選択するのが基本です。

■ 引用元の情報

 

本記事で言及したデータは、以下の学術論文および医薬品情報に基づいています。

  1. デュタステリドとフィナステリドの国際比較試験に関する論文

    • 論文名: The importance of dual 5α-reductase inhibition in the treatment of male pattern hair loss: results of a randomized placebo-controlled study of dutasteride versus finasteride. (男性型脱毛症治療におけるデュアル5α還元酵素阻害の重要性:デュタステリド対フィナステリドのランダム化プラセボ対照試験の結果)

    • 著者: Gubelin Harcha W, Barboza Martínez J, Tsai TF, et al.

    • 掲載誌: Journal of the American Academy of Dermatology, 2014 Mar;70(3):489-494.e3.

    • PubMedリンク: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24411686/

  2. デュタステリドの国内臨床試験に関する情報

    • 本文中の「約88%に改善」というデータは、デュタステリド(ザガーロ®カプセル)の医薬品インタビューフォームに記載されている第Ⅱ/Ⅲ相国際共同試験(日本人及び韓国人対象)の52週時点での写真評価結果に基づいています。これは医薬品の承認審査のために用いられる公的なデータです。

​自費診療費用:その時の薬価/消費税率により多少変動します。

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AGA(男性型脱毛症)治療において、日本の診療ガイドラインで最高ランクの「推奨度A(強く推奨する)」に位置づけられている治療法には、飲み薬(フィナステリド、デュタステリド)の他に、「ミノキシジル外用薬(塗り薬)」があります。
海外で承認されている内服薬は、国内認可が現在、認可されていません。

フィナステリド、デュタステリドの飲み薬「抜け毛の原因をブロックする守りの治療」なら、

ミノキシジルの塗り薬「直接、発毛を促す攻めの治療」と言えます。

 

ここでは、その効果と注意点について、科学的根拠に基づいて解説します。

 

① ミノキシジル外用薬とは? どんな仕組みで髪が生える?

 

ミノキシジルは、頭皮に直接塗ることで「髪の毛を作り出す組織(毛包)を活性化させる」薬です。

主な働きは以下の2つです。

1:毛包の細胞を活発にする:

  髪の根元にある毛包に直接作用し、毛母細胞の増殖を促すことで、新たな髪の毛が作られるのを助けます。

2:血流を改善する: 頭皮の血管を広げて血流を良くし、髪の成長に必要な栄養素を毛包に届けやすくします。

これらの作用により、乱れたヘアサイクル(髪の生え変わり周期)を正常化させ、細く短くなってしまった髪の毛を、太くコシのある健康な髪へと育てます。

※注意点:

同じミノキシジルでも、飲み薬(内服薬)は動悸やむくみなどの全身的な副作用のリスクがあるため、日本の診療ガイドラインでは推奨されていません。

 

② ミノキシジル外用薬の効果はどれくらい?

 

ミノキシジル外用薬の有効性は、日本人男性を対象とした大規模な臨床試験で確認されています。

  • 日本人男性300名を対象とした臨床試験では、5%濃度のミノキシジル外用薬を24週間(約6ヶ月)使用した結果、1平方センチメートルあたりの太くしっかりした髪の毛(非軟毛)の数が、使用前と比較して平均で26.4本増加したと報告されています。

この結果からも、ミノキシジル外用薬はAGAに対して高い有効性を持つ治療法であることがわかります。

 

③ ミノキシジル外用薬の副作用や注意点

 

ミノキシジル外用薬は比較的安全性の高い薬ですが、以下のような副作用や注意点があります。

  • 主な副作用

    • 頭皮のトラブル(かゆみ、赤み、かぶれ、フケなど): 最も多い副作用で、約6%の頻度で報告されています。

    • 動悸、めまい、頭痛: 血流を促進する作用により、まれに起こることがあります。

    • 初期脱毛: 使い始めて数週間後に、一時的に抜け毛が増えることがあります。これは乱れたヘアサイクルが正常に戻る過程で、古い髪が新しい髪に押し出されるために起こる良い兆候とされています。通常は1〜2ヶ月程度で治まります。

  • 使用を避けるべき方

    • 過去にミノキシジル外用薬でアレルギー症状(かぶれ等)を起こしたことがある方

    • 頭皮に傷や湿疹、炎症などがある方

  • 使用前に医師への相談が必要な方

    • 心臓や腎臓に障害のある方

    • 高血圧、低血圧の方や、血圧を下げる薬を服用している方

    • むくみやすい方

 

■ 引用元の情報

 

本記事で言及したデータは、以下の学術論文に基づいています。

  • 論文名: Efficacy and safety of 5% minoxidil topical solution in Japanese men with androgenetic alopecia: a randomized, double-blind, placebo-controlled study. (日本人男性型脱毛症患者における5%ミノキシジル外用液の有効性と安全性:ランダム化二重盲検プラセボ対照試験)

  • 著者: Tsuboi R, Tanaka T, Nishikawa T, et al.

  • 掲載誌: The Journal of Dermatology, 2012 Jun;39(6):578-83.

  • PubMedリンク: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22176813/

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​Q:「青いイルカのながたクリニック」での流れと診察ポリシー

 

●自費診療は、オンライン診療では当院は対応しておりません。

注:対面診察のうえ、対応外となり、処方できないとしても自費診療のコストは発生します。2.000~3.000円となっております。

オンラインでのご要望の場合には、他医療機関でのご相談をお願い致します。

 

●診察のうえ、自費処方対応薬局にて処方と薬剤指導を受けて頂く流れとなり、それぞれでコストが発生する流れとなります。しかし、

他のオンライン診療などで対応している診察料/薬剤指導料0円をうたっているところと総額コストは同等以下となっていますので

ご安心ください。

注:診察料/薬剤指導料が無料とうたっているところは、総額コストの中に郵送料なども含まれた価格で表記されているだけですので

 ご注意ください。

●保険診療と自費診療は、混合診療となるため、現時点の国内のルールでは、同日診療ができません。ご注意ください。

男性型脱毛症外来

since 2008 Nagata Clinic

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