top of page

​Q1:肥満とは、何ですか?また、どのように診断されますか?

A1: 肥満とは、体内に過剰な脂肪が蓄積され、健康に悪影響を及ぼすリスクが高まる状態を指します。日本では、体格指数(BMI: Body Mass Index)を用いて診断されます。

BMIの計算方法:「体重(kg)÷身長(m)²」 :自動計算​はコチラ
BMI:25以上 ➡ 肥満

・BMI:25以上で特定の合併症がある場合
・BMI:35以上の高度肥満である場合
 
には、「肥満症」と診断され、医学的な治療が必要となることがあります。​​
 
 
BMI分類.png
肥満レべル.png

​Q2:どういった人は、ダイエット/肥満外来の処方薬適応(自費も含め)とならないのですか?

 
BMI 25未満の方で生活習慣病もない方の“美容目的”での処方は当院では適応としておりません。
適応の方であっても、主体は、食事療法あることは変わりありません、医学的に適応と判断できないような漫然とした安易な処方を継続することはしておりませんのでご了承ください。

​Q3:どういった人が、ダイエット/肥満外来の保険診療処方となるのですか?

 

1:BMI35以上の高度肥満3度~4度の方

2:BMI27 以上:肥満1度以上の方で、以下の合併症を2つ以上ある方:ウゴービ®皮下注/ゼップパウンド®皮下注

  • 耐糖能障害(2型糖尿病など)

  • 脂質異常症

  • 高血圧

  • 高尿酸血症、痛風

  • 冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)

  • 脳梗塞(脳血栓症・一過性脳虚血発作)

  • 脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)

  • 月経異常、不妊

  • 睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群

  • 運動器疾患(変形性関節症など)

  • 肥満関連腎臓病

​2の処方基準に関して:

日本糖尿病学会/内分泌学会専門医かつ大規模な教育機関(大学病院etc)の基準

を満たした医療機関でないとウゴービ®皮下注/ゼップパウンド®皮下注は国内

では現時点では処方できない決まりとなっており、当院では処方できません

​これらは、保険診療1か月:1,3000~1,4000円かかる薬剤です。

 

これらの条件に該当しない場合は、自費診療となります。

​Q4:肥満と勘違いしやすい、体重増加を引き起こす病気には何がありますか?

  • 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモン不足により代謝が低下し体重が増加します。

  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS): ホルモンバランスの乱れによりインスリン抵抗性が高まり、特に腹部の脂肪蓄積が起こりやすくなります。

  • クッシング症候群:副腎からのコルチゾール過剰分泌により、特に上半身に脂肪が蓄積し、中心性肥満を特徴とします。

  • 浮腫(むくみ):心不全、腎不全、肝硬変などの疾患により体内に水分が蓄積し、体重が増加します。これは脂肪の増加ではありません。

  • インスリノーマ:膵臓の腫瘍によりインスリンが過剰分泌され、低血糖からの過食により体重が増加します。

  • 薬剤性肥満:ステロイド、抗うつ薬、抗精神病薬などの一部の薬が副作用として体重増加を引き起こすことがあります。

体重増加は必ずしも単純な肥満によるものではなく、上記のような病気や健康状態が原因で引き起こされることがあります。

これらは医師の診察による正確な診断が必要です。

​Q5:減量目的で使用される主な薬には、どのような種類がありますか?

​サノレックス®(マジンドール):3か月限定

厚生労働省認可の食欲抑制薬飲み薬です。食欲中枢神経に作用して食欲を抑えます。保険適用にはBMI 35以上で食事&運動療法6ヵ月以上したうえで不成功時という条件があります。耐性ができるため、1~3ヶ月の短期間投与が推奨され、長期処方は依存性や効果減弱のリスクがあるため12週間までが限界です。

副作用:

  • 身体依存性、精神依存性

  • 肺高血圧症

  • 口渇感、便秘

  • 精神障害、抑うつ、幻覚

  • 頻脈、不整脈、心筋梗塞

  • 睡眠障害etc。

また、精神疾患や内臓に障害がある方は副作用が出やすいことから、服用が難しい場合もあり、併用できない薬も多いので、既往歴や服薬している薬がある場合は、診察の際に必ず医師に伝えましょう。

注:サノレックスは副作用が起こりやすいため、14日分ずつの処方制限もあり、取り扱うクリニックが減っています。

 

自費費用:薬代のみ

1 mg 1回/日(最長3 か月)内服。自費の場合、薬だけで1錠500円/日

30日分:15,000円

3割負担の保険診療:薬代のみ

30日分:5,000円​

 
 

リベルサス®(セマグルチド)

 

GLP-1受容体作動薬唯一の飲み薬です。2型糖尿病のみ保険適で、それ以外は自費になります。

3㎎錠を4週間、その後7㎎錠を4週間、その後効果・副作用をみながら14㎎錠へと増量していきます。飲み方は毎日起床時に飲食前に120ml以下の少量の水で内服をして、30分間は飲食は一切避けて頂きます。また他の内服薬との同時服用も避けてください。

内服方法は少し複雑だったりします。

副作用:嘔気、下痢、便秘、頭痛、肝機能障害、膵炎etc

自費費用:薬代のみ

3㎎錠:1錠300円、7㎎錠:1錠600円、14㎎錠:1錠1,000円(全て税込)

30日分:9000~30.000円

3割負担の保険診療:薬代のみ

3000~10.000円

注!

通販サイト/オンラインのみで取り扱われているもので、やたらと安い飲み薬は海外から輸入されたものである可能性が高いため、

十分な品質管理が行われていない可能性があるので安全性や品質の面でリスクが伴うため推奨しません。

 
 
 
 

マンジャロ®皮下注(チルゼパチド)

 

GLP-1受容体作動薬の注射薬です。2型糖尿病の方のみ保険適用で、それ以外は自費になります。

初月週1回2.5㎎を4週間、その後効果不十分であれば5㎎、7.5㎎、10㎎へと4週間毎に増量していきます。最大で15㎎まで増量が可能。

副作用:嘔気、下痢、便秘、頭痛、肝機能障害、膵炎etc

​自費費用:薬代のみ

2.5㎎:1本4,500円、5㎎:1本7,000円、7.5㎎:1本9,500円、10㎎:1本14,000円 

初月:18.000円2か月目~:5㎎であれば2,8000円、3か月目~:7.5㎎であれば3,8000円、4か月目:10mgであれば5,6000円。

​・2か月目~を5mgのままで効果が十分であれば3か月以降は増量なし。

​3割負担の保療費用:薬代のみ

初月:約4,500円、2か月目~:5mgであれば8,200円、3か月目~:7.5mgにであれば13,000円、4か月目:10mgであれば15,300円。

​・2か月目~を5mgのままで効果が十分であれば3か月以降は増量なし。

注:薬価により変動あり。

GLP-1受容体だけでなくGIP受容体にも作用するためマンジャロの体重減少効果は非常に強く、マンジャロ5㎎でオゼンピック1㎎よりも体重減少効果が強いことが臨床試験dataで明らかになっているため、当院では、注射薬は本剤を使用しています。

糖尿病患者において、GLP-1受容体作動薬の使用は新生血管型加齢黄斑変性の発症リスクを約2倍に増加させることが示された.より長期間の曝露では,リスクがさらに高くなる傾向が認められたという報告も出ており、メリット&デメリットのバランスで上手に使うことが必要である薬剤であると考えています。本当に必要なのかを見極め、漫然と使い続けないことが重要です。

Shor R, et al. Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists and Risk of Neovascular Age-Related Macular Degeneration. JAMA Ophthalmol. 2025 Jun 5.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40471562/

新生血管型加齢黄斑変性:視力の低下やものがゆがんで見えるなどの症状が現れる病気

 

​Q6:GLP-1受容体作動薬とは何ですか?また、減量治療における役割は何ですか?

GLP-1(Glucagon-Like Peptide-1)は小腸から分泌されるホルモンの一種で、血糖コントロールの役割を持っています。

GLP-1受容体作動薬は、このGLP-1と同様の作用を持つ薬剤です。

減量治療における主な役割は以下の通りです。

  • 食欲抑制:脳の満腹中枢に働きかけ、食欲を抑制します。

  • 満腹感の持続:胃の蠕動運動を遅らせることで、胃内容物の排出を遅延させ、満腹感を長く感じさせます。

  • 脂肪分解促進と熱産生増加:脂肪の分解を促進し、体の熱産生を増やします。

  • インスリン分泌促進/インスリン抵抗性改善:インスリン分泌を促進し、末梢のインスリン抵抗性を改善することで、血糖値の コントロールにも寄与します。

これらの作用により、GLP-1受容体作動薬は食欲を自然に抑え、食事量を減らすことを助けるため、体重減少効果が期待されます。  リベルサス(内服)、オゼンピック(注射)、マンジャロ(注射)、ウゴービ(注射)、ゼップパウンド(注射)etcの種類があります。

ただし、日本ではこれらの薬の多くは2型糖尿病治療薬として承認されており、肥満治療目的での使用は国内では未承認であること

に注意が必要です。(ウゴービは肥満症治療薬として承認されていますが大学病院などの教育医療機関でないと処方できないなど

保険適用条件が厳しいため、当院では対応しておりません。)

 

また、あくまで食事療法の「つらさを軽減」する補助薬であり、薬物療法に頼りすぎず、食事制限と運動を並行して行うことが、リバウンドを防ぎ、長期的な体重管理を成功させるために最も重要とされています。重篤な副作用が出た場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる点も留意すべきです。

 

​Q7:飲み薬と注射薬は、どちらが効果がありますか?

経口薬より注射薬の方が効果があります。

​Q8:減量に効果の期待できる漢方薬には、どのような種類がありますか?

 

●防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

 

漢方薬の飲み薬で、脂肪太りや腹部に皮下脂肪が多い方に用いられ、食欲抑制、便秘解消、代謝促進、脂肪燃焼、むくみ解消効果が期待され、保険適用となる場合があります。これだけで体重減少は出来ません。食事療法/運動療法の併用をベースにすることが原則となります。BMI 35以上の高度肥満3度~4度方に効果が出やすいとされています。

 

▲大柴胡湯(だいさいことう)

 
 

漢方薬の飲み薬で、主に男性の固太りタイプで、ストレスによる過食で内臓脂肪が多い方に用いられ、旺盛な食欲を抑えます。

保険適用となる場合があります。脂肪燃焼効果と​ストレスによる過食を抑えることで間接的に痩せる効果が期待できる薬剤です。

 

✖ 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

 
 

漢方薬の飲み薬で、主に筋肉量の少ない女性の水太りタイプやむくみのある方に効果的で、水分代謝を改善します。

保険適用となる場合があります。しかし、ダイエット効果は期待できません。くみが取れてその分間接的に体重が落ちる

​だけです。

 

​Q9:「青いイルカのながたクリニック」では、どのように治療計画がされますか?

 

​他の肥満を引き起こす病気がないか、背景に生活習慣病などが隠れていないかのチェックを行い、糖質制限の食事指導/運動療法を

食事記録ノートを記載していただく、レコードダイエットも併用し、具体的な食事指導の徹底をします。

そのうえで6ヵ月対応しても変化のない方、すでにしていて効果が期待できない方を対象に保険診療・自費診療を見極め、ご本人と

​相談しながら、一緒にゴールを目指します。肥満症ではない、低体重/やせすぎの方では、対応しておりません。

 当院では、医師としてのポリシーとして、お金儲け的なネット自費販売、他の疾患の精査をせずに食事指導/運動指導もしないでのオンライン診療自費販売などは一切行いません。

ダイエット/肥満外来

since 2008 Nagata Clinic

bottom of page