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帯状疱疹ワクチンとは?
帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、【水痘・帯状疱疹ウイルス】といわれるウイルスが原因で発症する皮膚の感染症です。
小さい頃に水ぼうそう(水痘)にかかったことはありませんか?
そういった方は、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが、症状のない今もこのウイルスは脊髄に近い神経節で抑えられている状態となっています。
ところが、50歳以上となる加齢/過度のストレスや疲れ/などによって免疫力の低下した時に、ウイルスが再び活性化して皮膚の発赤や痛みなどの症状として、その神経節にそって帯状に出現します。それが、名前のごとく【帯状疱疹】となるのです。
また、加齢に伴って、免疫や抗体などが徐々に下がることでも発症しやすくなり、特に50歳代から急激に増加し、80歳までに約3人に1人が発症することがわかっています。
Shiraki K,et al.Miyazaki Dermatologist Society. Herpes Zoster and Recurrent Herpes Zoster. Open Forum Infect Dis. 2017 Jan 28;4(1):ofx007. PMID: 28480280
帯状疱疹の発疹が完治した後もその部位に痛みが持続する【帯状疱疹後神経痛】があり、50歳以上の患者さんの約2割が移行するともいわれています。
・Takao Y, et al.Incidences of Herpes Zoster and Postherpetic Neuralgia in Japanese Adults Aged 50 Years and Older From a Community-based Prospective Cohort Study: The SHEZ Study. J Epidemiol. 2015;25(10):617-25. PMID: 26399445
・比嘉和夫. 治療. 2008; 90(7): 2147-2149.
この神経痛はやっかいで持続する痛みも強く、長引くこともあり、非常につらいものです。
そんな【帯状疱疹】と【帯状疱疹後神経痛】を予防する方法があります。
それがワクチンです。
現在、日本では2種類のワクチンがあります。
1つは、2016年に帯状疱疹の予防に効果を認可された水痘ワクチン、
もう1つは、2020年1月に認可されたシングリックスというワクチンです。
2025年度4月からの定期接種化
厚生労働省は2025年度から、65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種を、予防接種法に基づく定期接種の対象としています。
接種対象者は
・65歳を迎える方
・特定の条件を満たす60〜64歳の方
・2025年度から2029年度までの経過措置として、70、75、80、85、90、95、100歳となる方
が対象となります。
医学的には、
50歳以上でのワクチン接種を推奨していますが、この年齢では任意接種となります。
加齢/疲労/ストレス以外にも、HIV感染、悪性腫瘍、免疫を抑える治療(免疫抑制療法)を受けている方なども帯状疱疹の危険因子となります。一度かかっても、1~6%程度の方が再発するとも言われています。
この2つの違いは下記の表にまとめてみました。



この表をみると免疫不全のある方や妊娠されている妊婦の方以外は、シングリックスというワクチンの方が、病気の予防効果やその持続期間を考慮するとメリットが勝るように思います。接種できる人であれば、安かろう、まずかろうという点も見えているのも事実です。しかし、選択はそれぞれ自由です。
当院では、どちらのワクチンも接種対応は可能としており、院長は、感染症を専門/得意分野の1つとする医師ですので気軽に相談してください。ご本人にとって一番ベストと考えられるワクチンを一緒に相談させていただきます。
さらに詳細を知りたい方はコチラのリンクを参照ください。
Q:帯状疱疹について、教えてください。
原因は?
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)による感染症です。
これは、子どもの頃にかかる水痘(水ぼうそう)と同じウイルスが原因となる感染症です。
発症の仕組みは?
水痘は、水痘ウイルス(VZV)は、主に空気感染であり、感染者の咳やくしゃみなどから放出されたウイルスを含む飛沫や空気中のウイルス粒子を、上気道から吸い込むことで感染が成立します。
体内に侵入したVZVは、
まず上気道粘膜で増殖し、その後血流を介して全身に広がり、皮膚に水疱を形成します。
皮膚にでて、発赤➡水疱➡膿胞化➡痂皮化(かさぶた)の間は、周囲にうつす/感染させる可能性が高いため、この間はすべてが痂皮化するまでは登園・登校禁止となります。(学校保健法)
その感染力は、1人で8~10人にうつすことが可能とされます。
皮膚に水疱が出たあとにウイルスは「皮膚の知覚神経終末」から神経を逆行性に移動し、「脊髄後根神経節(感覚神経節)」に到達し、水痘が治癒した後もウイルスは神経節に潜伏し免疫でおさえられている状態となります。
このように、子どもの頃に水痘にかかって治った後も、ウイルスは完全に体からいなくなるわけではなく、体の神経の中に隠れて潜んでいます。これを「潜伏感染」と呼びます。特に、顔の感覚に関わる三叉神経節や体の感覚に関わる脊髄の後ろ側の神経の塊(後根神経節)といった場所に潜んでいることが多いです。
普段は、体の免疫力によってウイルスの活動は抑えられているのですが、疲労やストレスがたまったり、年をとったりして体の免疫力が弱まると、隠れていたウイルスが再び活動を始めてしまいます。
これが帯状疱疹の原因となりますので、帯状疱疹は水痘の「再発」のようなものだと考えられています。
免疫が低下するとウイルスが再活性化し、神経節から皮膚に移動し、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹の症状はどのようなものですか?
ウイルスが再び活動を始めると、神経の中を通って皮膚まで移動してきます。そして、その神経が分布している皮膚の範囲(「デルマトーム」と呼びます)に沿って症状が出ます。
右半身と左半身はそれぞれ5つの神経支配領域(三叉神経、頸神経、胸神経、腰神経、仙骨神経)に分けられます。
三叉神経は、
頭頂部〜鼻部の感覚を司る第1枝(Ⅴ1、眼神経)、頬部〜上顎部の感覚を司る第2枝(Ⅴ2、上顎神経)、下顎〜側頭部、外耳道、舌の前側2/3の感覚と咀嚼筋の運動を司る第3枝(Ⅴ3、下顎神経)に分かれています。
それぞれの神経の頭文字をとって、頚神経(cervical nerve)=C、胸神経(thoracic nerve)=T、腰神経(lumbar nerve)=L、仙骨神経(sacral nerve)=S、尾骨神経(coccygeal nerve)=Coと表記されます。
V1~V3(第1三叉神経~第3神経):3対
C1〜C8(第1頚神経〜第8頚神経):8対
T1〜T12(第1胸神経〜第12胸神経):12対
L1〜L5(第1腰神経〜第5腰神経):5対
S1〜S5(第1仙骨神経〜第5仙骨神経):5対
C0(第1尾骨神経):1対


典型的な帯状疱疹の症状は、主に次の2つのPhaseで進むことが多いです。
Phase1:
痛みの出現:
まず、皮膚にぶつぶつや水ぶくれ(皮疹/水疱)が出る数日前から、体の片側のある場所に痛みを感じることが多いです。痛みの性質は様々で、チクチク、ピリピリ、あるいは電気が走るような、焼けるような痛みとして感じることがあります。服が触れただけでも痛いと感じることもあり、これは「アロディニア」と呼ばれます。
このように、皮疹が出る前に感じる痛みを「前駆痛」といいます。
Phase2:
帯状の皮疹の出現:
痛みが始まった部分に、数日後に赤いぶつぶつ(紅斑)が現れ、それが帯状に広がります。そして、その上に小さな水ぶくれ(水疱)がたくさんできます。水ぶくれはやがて黄色い膿(膿疱)がたまり、かさぶた(痂皮)になって剥がれ落ちていきます。
これらの症状は、「体の片側だけ」に「帯状に現れる」のが特徴です。発熱やリンパ節の腫れなどを伴うこともあります。
このような典型的な症状があれば、比較的容易に診断できます。
診断が難しい帯状疱疹とは何ですか?
診断が難しい帯状疱疹もあり、その1つに「無疱疹性帯状疱疹」があります。
これは、帯状疱疹なのに、典型的な皮疹(赤いぶつぶつや水ぶくれ)がほとんど、あるいは全く出ないタイプの帯状疱疹です。
皮疹がないのに、帯状疱疹と同じように「神経痛のような痛みだけ」を感じます。この痛みは、体の片側の、特定の神経の通り道に沿って現れます。チクチク、ピリピリ、焼けるよう、電気が走るよう、触れると痛い(アロディニア)といった、帯状疱疹に特徴的な痛みの性質を持つことがあります。息を吸うと痛んだり、夜寝ていても痛みで目が覚めたりすることもあります。
帯状疱疹の空気感染を意識した対応すべき場合を教えてください。
・顔面(三叉神経第2・第3枝領域)に発症し、口腔粘膜に水疱を生じる場合
この場合は水痘と同様、口腔粘膜からウイルスが排出されるため、空気感染の可能性が高くなります。
・免疫不全患者や播種性帯状疱疹(3分節以上に病変が及ぶ場合)
免疫不全者や広範囲に病変が及ぶ場合は、気道粘膜でもウイルスが増殖し、空気感染の可能性が高くなります。
まとめ
・一般的な帯状疱疹(限局型、免疫正常者)では空気感染はほとんど起こらない
・顔面型、免疫不全者、播種性では空気感染のリスクが高くなる
・水痘と比べると感染力は低いが、周囲の環境に応じて対応が必要になる。
早期診断/治療した方がよい理由を教えてください。
下記のリスクを避けるために必要となります。
・治療が遅れると「帯状疱疹後神経痛(PHN)」という長引く痛みが残るリスク
・顔面神経麻痺、目の合併症、髄膜炎など重い合併症のリスク
・皮疹がなくても合併症が起こるリスク
帯状疱疹の合併症に関して、教えてください。

帯状疱疹後神経痛の年齢別の発症頻度と持続期間に関して、教えてください。

帯状疱疹の治療薬に関して、教えてください。

帯状疱疹の予防法に関して、教えてください。

参考文献
本資料は厚生労働省、臨床試験、医学文献等から得られた情報に基づいています。
-
https://gskpro.com/ja-jp/products-info/shingrix/clinical-studies-safety/safety/
-
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kansenshogakuzasshi/92/2/92_103/_article/-char/en
特に重要な参考文献:
・N Engl J Med 2005; 352: 2271-2284(帯状疱疹ワクチンの初期臨床試験)
https://www.nejm.jp/abstract/vol352.p2271
・ZOSTER-006試験およびZOSTER-022試験(シングリックスの有効性と安全性)
https://gskpro.com/en-ie/products/shingrix/efficacy/
https://gskpro.com/ja-jp/products-info/shingrix/clinical-studies-safety/safety/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kansenshogakuzasshi/92/2/92_103/_article/-char/en
・ZOSTER-049長期追跡試験(シングリックスの長期効果)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34283213/
帯状疱疹の2つの痛み:動画
