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頭痛の種類は、大きく2つにわけられます。
1次性頭痛
片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、後頭神経痛など
2次性頭痛
脳腫瘍やくも膜下出血など
これまで「頭痛」の訴えがあると、詳細な問診や症状/身体所見などの精査なく、ルーチンで頭部CTやMRIを実施し、異常なければ、痛み止めだけをもらうというケースが多かった時代がありました。今でもそのようにされてしまっている医療機関も少なからずあるのも事実でもあります。当院では、事前問診や診察などで可能性があると判断した場合や不安が強い方には、頭部CT/MRIによる中枢性疾患の精査を専門病院と連携対応しております。
2次性頭痛は、生命に関わることもあり、それを除外することは非常に重要になります。
危険な頭痛を疑う症状としてのポイントは、以下の3つ。
①人生最悪の頭痛、②瞬間的、5~10分以内の短時間に増悪していく頭痛 ③突然発症
上記の3つがなければ、危険な頭痛の可能性はグンっと下がるとされています。
危険な頭痛の中にクモ膜下出血があります。当院でもこれまでに何人も問診や症状から疑い、緊急で頭部CT/MRIの対応できる脳神経外科医の常勤医のいる専門病院に紹介し、確定診断➡緊急入院治療となったケースがあります。
クモ膜下出血を除外するためには【Ottawa SAH rule】があり、意識がはっきりしていて、神経学的異常所見がなく、1時間以内に頭痛のピークがあった方の中で以下の6つの項目がすべてなければ、クモ膜下出血の可能性はグンと下がるとされています。
【Ottawa SAH rule】
①40歳以上 ②頸部の痛み/項部硬直あり ③目撃のある意識消失あり
④労作時の発症(何かをした際に突然発症する) ⑤雷鳴頭痛(1分以内に急激に頭痛がピーク)⑥頸部屈曲制限あり
項部硬直とは?
-
仰向けに寝た患者の頭部を持ち上げると抵抗がある
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前屈させると頭部と胸部がいっしょに持ち上がる
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前屈の際に強い痛みを訴える
注:頭部CTで異常なしとされてしまうクモ膜下出血
①発症から2~3日開花すると約75%まで感度が下がります。1週間経過すると50%まで下がり、発症から24時間以内では95~100%
とされ、MRIが必要になることもあります。
②貧血あり(Hb 10g/dL以下、Hct30%以下)
③頭蓋底出欠
④CTのスライス/アーチファクトの問題
⑤微妙な所見にて、読影困難なケース
1次性頭痛は、多くの患者さんがいて、しかも、学校や仕事を休まざるを得ないぐらいにつらい症状にも関わらず社会的にも理解してもらえないことも多いのです。
1次性頭痛の代表的なものには、片頭痛と緊張型頭痛(筋収縮性頭痛)の2つがあり、両者の混合型頭痛も非常に多いとされます。
片頭痛は血管性頭痛の代表といわれ、血管が縮んだり拡がったりすることで、血管の周囲にある神経が刺激されて痛みを感じます。片側だけでなく、両側が痛む場合もあり、片頭痛の患者さんは、人口の約10%、全国で900万人以上はおられます。
2001年より、「トリプタン製剤」が登場し、片頭痛の治療は大きく変化しました。医師の指示に従ってきちんと服用することで、多くの方が片頭痛の痛みから速やかに解放されるようになりました。
片頭痛治療薬の基本的な選択方法
小児や妊娠授乳期の方は、まずは「アセトアミノフェン」。
それ以外の方に対しては、片頭痛の重症度に応じて、抗炎症効果のある軽度~中等度には「NSAIDs」、中等度~重度には「トリプタン製剤」の使用/併用がが推奨されています。
軽度~中等度の頭痛でも「NSAIDs」の効果がみられない方に対しては、「トリプタン製剤」に変更/併用することもあります。
「頭痛の頻度が多い」「トリプタン製剤は効くがその効果が弱い」という場合には、毎日内服する「予防薬」を行います。
トリプタン製剤
年齢や性別、過去使用歴があればその効果などを参考にして、複数のトリプタン製剤の中からまず一つを選択して処方し、しかし、薬の効果や副作用の出現には個人差が大きく、まずは少量から処方し、薬の効果や副作用を慎重に確認しながら、患者さんそれぞれに合った薬や飲み方を探していくことが重要になります。
日本では5つのトリプタンが使用でき、セロトニンが片頭痛を予防することから、セロトニンの作用を強める薬として開発され、頭痛の起こり始めに服用するのが効果的です。
トリプタン製剤は、内服のタイミングが重要になります。
頭痛が軽度かもしくは頭痛発作早期(発症より1時間ぐらいまで)が効果的です。
片頭痛前兆期/予兆期にトリプタンを内服しても効果がない可能性があります。
また、痛みのピークで内服した場合には、効果は乏しいです。
血管収縮作用があるため、脳や心臓などの血管障害のある方やコントロールされていない高血圧の方には使用できません。
副作用は多くはありませんが、時にめまいや眠気などがあります。
トリプタン製剤服用禁忌
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本剤の成分に対し過敏症
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心筋梗塞、虚血性心疾患、異型狭心症の既往のある方
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脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往のある方
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閉塞性動脈硬化症等の慢性動脈閉塞症、末梢血管障害の既往のある方
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コントロールされていない高血圧症
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その他
ゾーミッグ®を除いて,重篤な肝機能障害に禁忌
マクサルト®は,透析患者さんに禁忌
アマージ®は,高度腎機能障害患者に禁忌 などがあります。
またSSRIやSNRIなど併用に注意が必要な薬剤、HIVプロテアーゼ阻害剤やプロプラノロールなど、特定のトリプタンでの併用禁忌薬
があり、その他にも代謝酵素の関係で、特定のトリプタンに特定の併用注意薬がありますので専門的知識のある医師/薬剤師の判断
が必要となります。
5つのトリプタン製剤
①スマトリプタン(イミグラン)50mg
最初に開発された内服薬で、点鼻薬や皮下注射もあり。1回に2錠服用可能。1日に4錠まで可能。
妊娠中も禁忌とはされていません。
1回1錠で効果が不十分な場合は2時間以上の間隔を空けて追加服用ができます。
次回からは1回2錠を服用してください。ただし、1回最大2錠まで、1日最大4錠まで。
②ゾルミトリプタン(ゾーミック)2.5mg
水なしで服用できる剤型:口腔内崩壊錠(RPD錠)があり。1回に2錠服用可能。1日に4錠まで可能。
③エレトリプタン(レルパックス)20mg
濃度が上がるのが他の薬剤が2~3時間かかるところ1時間で上がるので、早く効果の出る薬です。
母乳への移行が少ないことが知られています。グレープフルーツとの併用注意。
1回1錠で不十分な場合、次の片頭痛発作時には、1回2錠を服用できます。2時間以上の間隔を空けて追加服用できます。
ただし、1回最大2錠まで、1日最大2錠まで。
④リザトリプタン(マクサルト)10mg
③と同様に早く効果が出てますが、半減期が1.6時間と持続時間が短い薬です。発作時間が短い方に選択肢になる。
水なしで服用できる剤型:口腔内崩壊錠(RPD錠)あり、小児にも使用可能。
片頭痛予防薬プロプラノロールとは禁忌となっています。
1回1錠まで、1日最大2錠までです。2時間以上の間隔を空けて追加服用できます。
⑤ナラトリプタン(アマージ)2.5mg
半減期は5時間と他のどの薬剤より長く、効果が最も持続します。
発作時間が長い片頭痛の再発防止などに効果が期待できるとされる
月経時頭痛に有効ともされています。
1回1錠まで、1日最大2錠までです。4時間以上の間隔を空けて追加服用できます。
トリプタン製剤に残された問題点
①内服するタイミングが難しい
頭痛発作早期に内服しないと効果が薄く、発作開始から時間が経過した場合は軽減しません。
②血管に作用するために生じる副作用
トリプタン製剤は脳の神経や血管のセロトニンというところに働いて頭痛の原因物質が出るのを抑制する薬でした。セロトニンは神経だけでなく血管にも作用してしまうので、頭痛を鎮めるのと同時に血管収縮が生じるため脳梗塞の既往のある方や狭心症、心筋梗塞の方、脳血管狭窄症の方には使用することが出来ませんでした。
この薬は同じセロトニンでも脳の神経に特化して作用する薬なので、血管に悪さをしないため、飲んだ後に胸が苦しくなるような副作用がなく、狭心症や心臓に持病がある人も飲める薬となっています。
③薬剤の使用過多による頭痛
過剰に使用すると頭痛の頻度が増え、連日の頭痛を引き起こす可能性があります。これを薬剤の使用過多による頭痛(リバウンド頭痛)といいます。薬を早めに飲んだり、頭痛がないのに薬を飲んだりすると、薬の効果が弱くなり、頭痛がさらにひどくなる悪循環に陥ることがあります。
➡原因薬剤を中止し、リバウンド頭痛には、ロキソプロフェンなどのNSAIDs+漢方薬を使用する。薬剤中止後2~10日間程度続くこと
が多いとされます。そのうえで、毎日内服する「予防薬」の内服を検討します。
新しい製剤
⑥ラスタジン(レイボー)100mg
服用したあとにいったん痛みがなくなり、もし再び片頭痛による痛みが戻ってきた場合、再度このお薬を服用することができます。
その場合は、24時間で合計200mgを超えないようにしなけければならない。めまいなどの副作用があれば、50mgに減量可。
レイボーは痛くなってから飲んでも効くお薬ですので、タイミングが遅れても効果があります。
毎日内服する「予防薬」
(1)カルシウム拮抗薬:最近の報告では、効果が少ないとされ、当院ではあまり処方しないことが多いです。
①ロメリジン(ミグシス®)②ベラパミル(ワソラン®)
(2)抗てんかん薬
① バルプロ酸(デパケン®、セレニカ®) ② トピラマート(トピナ®)
③ レベチラセタム(イーケプラ®) ④ ガバペンチン(ガバペン®)
(3)β遮断薬
プロプラノロール(インデラル®):リザトリプタン(マクサルト)との併用禁忌
(4)抗うつ薬
アミトリプチン(トリプタノール®)
(5)漢方薬
呉茱萸湯、釣藤散、五苓散など:当院では、2~4のどれかと漢方薬を併用することも多いです。
(6)CGRP関連抗体薬(片頭痛発作の発症抑制薬):上記でもコントロールの難しい重症患者さんには、この薬剤の適応を含め、
近隣総合病院へ紹介させて頂いております。非常に高額な薬剤にて行政サポートも必要。
エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ
片頭痛に悩む患者さんのうち、男性と女性では女性の方が3.6倍も多いとされ、その理由としては、女性ホルモンであるエストロゲンの存在が大きく関係しており、生理の際に悪化する強い頭痛を感じている女性は、エストロゲンの減少に伴い片頭痛が誘発されるといわれています。
特徴
① 頭痛の頻度は月に数回~10回前後 ② 頭の片側あるいは両側がズキンズキンと脈を打つような痛み
③ 吐き気や嘔吐を伴う ④ 家族に片頭痛持ちがいる
誘因
① 激しい運動や入浴後、日射し、気圧の低下 ② 女性は生理前や生理中の女性ホルモンのバランスの変化
③ 家族に片頭痛持ちがいる ④ アルコールやチョコレート、チーズなどを食べたとき
片頭痛の前兆
片頭痛は、前兆を伴うタイプと、伴わないタイプに分類できます。
最も多い前兆は、「閃輝暗点」と呼ばれる症状で、
① 目の前で光がチカチカする
② 視界にきらきら光るジグザクの線が移動する
③ 視野が狭くなるなどがあり、他に、手がしびれることもあります。頭痛が始まるとそれらの症状は消失してしまいます。
緊張型頭痛は、実は片頭痛よりも多く、全国で2000万人以上といわれています。
緊張型頭痛を引き起こしている原因は、筋肉の緊張からくる頭痛と精神的緊張からくる頭痛の2つがあるとされます。
筋肉の緊張からくる頭痛とは、首のうしろから肩にかけて筋肉がこわばり、痛みの原因物質である乳酸やピルビン酸が出現することが原因です。
一方、精神の緊張からくる頭痛は、仕事や家庭、人間関係など、心にかかるストレスが原因となります。痛みは前額部や頭全体に及びます。頭痛以外に、不眠やめまい、耳鳴りなどの症状を伴うことがあります。
緊張型頭痛治療薬の基本的な選択方法
緊張型頭痛には、トリプタン製剤は効果が期待できません。
鎮痛剤(NSAIDsやアセトアミノフェン)以外に
筋弛緩薬(ミオナール、テルネリン)などの筋肉を柔らかくする薬物や
精神安定剤(ソラナックス、セルシン)なども筋肉の弛緩作用もあり、心の緊張も緩和できることを期待して処方を行います。
肉体的な緊張が原因ならば筋肉をリラックスさせる体操やストレッチで体をほぐし、姿勢を正すことが重要になり、時に整形外科の受診が必要な場合もあり、適宜紹介のうえ連携対応を行います。
心の緊張が原因であれば、ストレスの発散が必要であり、時に精神科/心療内科の受診が必要な場合もあり、適宜、紹介させて頂き、連携対応を行うこともあります。痛みの程度によって、鎮痛剤や筋肉弛緩剤、精神安定剤が必要になります。
当院では、漢方診療も対応しており、症状に合わせた漢方薬を選定し、西洋医学と東洋医学の併用により、患者さんの頭痛が生活に支障のないように最大限のサポートをしております。
特徴
① 毎日のように痛みが起きる ② 頭を何かで締め付けられるような痛み
③ 首や肩の「はり」「こり」を感じることが多く、目の疲れ・身体のだるさ・めまいなどを伴う
群発性頭痛は、上記の2つの頭痛よりもさらに痛い頭痛になります。
特徴
① 20~40代の男性に多い ② 1年から数年に一度、1ヶ月から数ヶ月、毎日のように決まった時間に痛みが起きる
③ 頭部の片側、眼の奥、こめかみあたりが「えぐられる」ような激しい痛み ④ 目の充血、涙、鼻水、鼻づまりを伴う
誘因
目の奥の血管が拡張し、周囲に炎症が生じて神経を刺激すると考えられていますが、詳細は未解明です。血管を拡張させるアルコールの摂取は厳禁となり、酸素吸入で軽減する傾向もあります。
トリプタン系薬剤は、片頭痛だけでなく、群発頭痛にも効果があるクスリとされます。