生活習慣病の改善が、健康寿命/余命にどこまで影響するかの研究報告
- feverworkup
- 4月23日
- 読了時間: 4分
この研究では、特に「心臓や血管の病気」にかかりやすくなる、皆さんの生活に関係する5つの「原因になりうるもの」(これを「危険因子」と呼びます)に注目しました。
その5つの危険因子はこれです。
血圧が高いこと
コレステロールや中性脂肪が多いこと
太りすぎ、または痩せすぎなこと
糖尿病があること
タバコを吸うこと
この研究で、たくさんの人たちのデータ(200万人以上!)を調べてわかった、一番大事なメッセージはこれです。
もし、あなたが50歳になった時、この5つの危険因子を
「全く持っていない」場合
「5つ全て持っている」場合
で比べると、その後の人生にものすごく大きな差が出ることがわかりました。
具体的に言うと…
50歳で危険因子が「全くない」人は、5つ全てある人に比べて、
心臓や血管の病気にならずに済む期間が、男女ともに「10年以上長い」!
そして生きられる期間(寿命)も男女ともに「10年以上長い」とわかりました!
つまり、若い頃から、あるいは少なくとも50歳になるまでに、これらの危険因子をなくしておく(健康的な生活を送る)ことが、病気にならずに長く元気に生きるために、どれだけ大切かが、この研究でハッキリしました。
「じゃあ、もし50歳で危険因子があったらもうダメなの?」と思うかもしれません・・・
でも、大丈夫です。
この研究では、たとえ50歳を過ぎてからでも、これらの危険因子を改善することが、その後の健康な期間や寿命を延ばすのにとても効果があることもわかりました。
特に、
「高血圧」を治すと心臓や血管の病気にかからずに済む期間を一番長くできます。
「タバコを吸う」のをやめる、全体として健康寿命一番長くできます。
そして、改善することが増えれば増えるほど、健康でいられる期間も、長く生きられる期間も、どんどん延びることもわかっています。
まとめ
この研究のシンプルなメッセージはこれです。
「元気なまま、健康に生きたいなら、病気の原因になるものをできるだけなくし、特に血圧とタバコに注意して、早いうちから、そしてもし今持っていても、遅すぎないうちに改善することが、自分の未来の健康と寿命を大きく変えることができるのです」
今の生活習慣が、将来の自分に大きく影響することを覚えておいてください。
生活習慣病で通院されている「かかりつけ医」の先生からは、
具体的な食事・運動療法の生活指導を受けていますか?
お薬を内服することが必要かどうかは本人の年齢や基礎疾患の背景などで実は変わります。正常値より高いだけで薬が必要なわけではないということが最新の医療では明らかになり、患者さん1人1人で必要な治療が異なります。
知識をアップデートし続けている「かかりつけ医」の先生を見つけて頂き、多少は耳の痛いこともしっかり助言してくれる医師が本当の意味での「あなたのかかりつけ医」なのです。
血圧は、病院でだけ測定し、高血圧だとか、問題ない数値であるということは実は判断できません。
白衣性高血圧/仮面高血圧といった可能性もあるため、毎日朝・夕の1日2回リラックスした時に測定を2~4週間測定し、薬の必要の有無やコントロールできているかの評価をしないといけません。
あなたのかかりつけ医の先生は、待合室や診察室の血圧だけで終わっていませんか?
1分診療で薬をポンっと出してもらうのは楽かもしれません。
医療費が高騰してきて財政を圧迫している日本では、2025年6月からは、そういう医師や患者さんをなくすためにきちんと指導をしないと保険点数で指導料を取ってはいけないことになり、4か月に1度は具体的な指導用紙と目標値を記載した紙を患者さんにお渡しすることが義務化されています。
(残念ながら、一部の医師の中には、指導していないけれども指導料を取っている方もいるようです・・・)
生活習慣病は、痛くもかゆくもありません。しかし、動脈硬化による心疾患や脳卒中などを予防し、糖尿病などは失明や透析、神経疾患などの合併症を起こさないために生活指導による食事・運動療法の改善と必要な薬剤の選択が重要となります。